以前の記事でも書いたが、私は中三の終わりころにエレキギターを始めた。
ちょうど、時代はイカテン等のバンドブームで、その中でも私の心を大きく動かしたのは、1990年のローリングストーンズの初来日コンサートであった。
動機は単純で、ああ、キースリチャーズやロニーウッドみたく、ギターが弾けるようになりたい!であった。
年齢は15才。それから、もうじき50歳を迎える私にとって、ギター歴は約35年、人生の半分以上はギターと付き合っており、いまだ、その付き合いは続いている。
おもに大学生時代、超ヒマだったころ、18歳~20歳頃だったかなあ、ストーンズやブルース、ロカビリー等のルーツ音楽のギターを昼夜問わず、飯を食うのも忘れ、ギターの練習に励んだ。練習というより、「絶対このフレーズやギターソロを自分のモノにしてやる!」という根性だった。当時はYouTubeやアプリ、マニアックなフレーズのタブ譜など無い時代、これが良かった、テープを何度も聴きなおし、そう耳コピでマスターしたことだった。そう、この3年間で今のギタープレイヤーとしての私がいるといっても過言ではない。
ギターを上手く人など、ゴマンといる。しかしながら、「本当にギターが上手い」人は、そうそういない。ただ、指を速く正確にギターのフレットを抑え、右手で正確にピッキングしている人がほとんどだ。ギター未経験者や、耳が肥えていない人が見ると、なんて上手なんだ!と思うかもしれないが、私の涙腺を刺激してくれるギタープレーに出会うことは稀だ。
私はギター教室をやっている。モットーは、楽しくはもちろん、「本質的にギターを上手に弾けること」だ。うーん、この表現もイマイチであるが。
まず、ギターに限らず、楽器は「魂」や「感情」をのせ、メロディーやビート等を奏でるツールだ。よって、私はギターの部品の名称や、専門用語など、ほとんど重視していない。
「この譜面通り弾くんだよ」ということも一切言わない。
私が伝えるのは、「感情や景色」などを想像し、それをギターのメロディに乗せることを重視している。上記、単純に上手く人のほとんどはエモくない。心に刺さらないのである。
ミスがない、早く弾ける、は子供だましだ。(子供に失礼だな)
なので、ある程度はギターの弾き方は教えるが、重視しているのは、憧れているプレイヤーの表情や、その人が何を思って弾いているか、何の景色を浮かべて弾いているか、を把握することである。 そして、ある程度、ギターのコードやフレーズ手順を覚えたら、専門用語など一切伝えず、例えば「夏のドロッとした太陽が沈む風景を想像し」「別れた女性(男性)をその太陽と思って、このフレーズを奏でよう!」という、漠然であるが、感受性の部分を強化している。はじめは「何言ってるんだろう?」と思われることも多いが、何も考えず引いたギタープレイを録音し、次に上記感情・風景をのせて弾いたギタープレイを聴いてもらうと、ほとんどの人は納得する。
そう、ギターという楽器が泣いていたり、笑っていたり、怒っていたりしているのだ。このようなプレイでないと、観衆に届かないし、弾いているプレイヤーの表情もギターを間違えずに弾こう、というつまらない顔になっている。そう、グッとこないのである。ギターなんて(ギターに問わず)、多少は間違えたって良いし、聴いている方も気にならない。逆に、感情や風景がギターにのり、それを操っているプレイヤーの表情が豊かだったり、音楽を聴きに来ている人は、そこに喝采を浴びせるのである。なので、(専門用語であるが)チョーキングといって、ギターの弦を指で持ち上げるフレーズひとつでも、この感情や風景が乗っていると、とても気持ちよく、いわゆるカッコいいプレイとなるのだ。
多くの大手楽器店のギター教室(全部がそうとは言わないが)、単純に、譜面通り弾くことに注力させ、肝心な「音で人を引き付ける」「楽器で人の感情、自分の感情を燃やす」ことを教えてくれない。だから、つまらないギタープレヤーが多くなり、メジャーアーティストでも、今はサブスクで、ギターソロを早回しで飛ばされることも珍しくなくなった。
ギター。なんてすばらしい楽器。
自分のソウルをのせないなんて、なんども勿体ない
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